個人向け国債の買い時はいつ?
「金利が上がるまで待つ」は正解か
- 変動10年を買うなら、利率が半年ごとに見直されて金利上昇に追随するため、利上げを待つ意味は構造的に薄いです
- 待っている間は利子ゼロ。100万円なら1ヶ月待つごとに税引後約1,300円の利子を取り逃す計算です(変動10年 年1.95%で概算)
- 固定5年・固定3年を狙う場合だけは、利率が発行時に固定されるためタイミングに意味があります
- 次回の日銀会合は7月30〜31日(展望レポート回)。ただし追加利上げが決まるとは限りません
📚 個人向け国債を扱う主要証券会社
元本保証の個人向け国債(変動10年・現行1.95%)を取り扱う主要証券会社です。口座開設や購入の判断はご自身でご確認ください。
マネックス証券(NTTドコモグループ)
個人向け国債も購入手数料0円・米国債/投信にも強い
岩井コスモ証券
個人向け国債(変動10年・固定5年)を取扱。米国株/外国債券にも対応。
① なぜ「待つべき?」と迷うのか
いま個人向け国債を検討している人が動けなくなる理由は、はっきりしています。「利上げ局面だから」です。
- 日銀の政策金利は1.00%(2026年6月16日に利上げ)。市場では追加利上げの有無が引き続き注目されています
- 次回の日銀会合は7月30〜31日。経済・物価の見通しを示す展望レポートが出る回で、追加利上げが焦点とされています
- 「もし利上げされるなら、その後に買ったほうが高い利率で買えるのでは?」→ だから今買うと損な気がして動けない、という心理です
この迷い自体は自然なものです。ただしこの理屈が成り立つのは「買った後の利率が変わらない商品」の場合で、個人向け国債の変動10年には当てはまりません。次で説明します。なお、日銀会合と国債金利の関係は 日銀会合と個人向け国債の金利 で、直近のスケジュールは 2026年9,10月の債券イベント でまとめています。
② 変動10年は「待たなくても追随する」しくみ
個人向け国債の変動10年は、名前のとおり利率が変動する商品です。しくみはシンプルです。
| 項目 | 変動10年のしくみ |
|---|---|
| 利率の決まり方 | 基準金利(10年国債の市場実勢)×0.66 |
| 見直し頻度 | 購入後も半年ごとに利率を見直し |
| 下限 | 最低0.05%が保証(マイナスにならない) |
| 現在の利率 | 年1.95%(2026年10月発行分) |
ポイントは「購入後も」半年ごとに見直されることです。つまり、いま買った変動10年も、将来金利が上がれば次の見直しで利率が自動的に引き上げられます。「利上げ後に買った人」と「利上げ前に買った人」の利率は、見直しのたびに同じ水準に収れんしていく設計です。
だから変動10年に限っては、「金利が上がるまで待つ」ことの意味が構造的に薄いのです。待っても待たなくても、上がった金利にはどのみち追随できます。逆に金利が上がらなかった(または下がった)場合でも、最低0.05%と元本は守られます。利率の推移は 個人向け国債の利率推移 で確認できます。
③ 待つことの機会損失を金額にすると
「追随するなら急がなくてもいいのでは」と思うかもしれません。ここで見落とされがちなのが、待っている間の利子はゼロという事実です。
- 変動10年の現行利率は年1.95%。利子には20.315%の税金がかかるので、税引後は年約1.554%です(1.95%×0.79685)
- 100万円の場合:100万円 × 1.95% × 0.79685 ÷ 12ヶ月 ≒ 1ヶ月あたり税引後 約1,300円
- つまり「様子見」を1ヶ月続けるごとに、約1,300円の利子を取り逃している概算になります(300万円なら月約3,880円)
もちろん普通預金に置いていればわずかな利子は付きますが、差は歴然です。そして②のとおり、待って得られるはずの「利上げ後の高い利率」は、先に買っていても半年ごとの見直しで受け取れます。個人向け国債は毎月募集されているので「今月を逃すと次がない」商品ではありませんが、待機期間はそのまま機会損失になります。ご自身の金額での正確な手取りは 日本国債シミュレーター で計算できます。
④ 固定型を狙うなら話は別
ここまでの話は変動10年に限ったものです。固定5年・固定3年を狙う場合は、事情がまったく違います。
- 固定型は発行時の利率が満期までずっと固定されます(現行:固定5年2.24%・固定3年1.96%)
- つまり「いつ買うか」で受け取る利率が確定するため、固定型に限ってはタイミングに意味があります。利上げ後の募集回のほうが高い利率で固定できる可能性はあります
- ただしこれは「金利が実際に上がれば」の話です。上がるとは限らず、据え置きや低下もあり得ます。その場合、待った期間の利子ゼロだけが残ります
- 金利が上がると既発の債券価格が下がる一般的な関係は 利上げと債券価格の関係 で解説していますが、個人向け国債は市場価格で売買しないため、この値下がりリスクは負いません
「固定型で長く利率を確定させたい。だから7月30〜31日の会合結果を見てから決めたい」という判断は、機会損失(月約1,300円/100万円)というコストを理解した上でなら、一つの合理的な選択です。
⑤ 結論:用途別の考え方
「買い時はいつ?」への答えは、どのタイプを買うかで変わります。
| あなたの状況 | 考え方 |
|---|---|
| 変動10年を検討中 | 待つ意味は構造的に薄い。半年ごとの見直しで上昇に追随でき、待機中は利子ゼロ |
| 固定5年・固定3年を検討中 | 利率が発行時に固定されるためタイミングに意味あり。ただし利上げは確実ではなく、待機コストとの天秤 |
| どちらか迷っている | 金利の先行きを当てにいくより、追随型の変動10年を基本に考えるのがシンプル |
個人向け国債は毎月募集・発行1年後からは元本割れなしで中途換金も可能(直前2回分の利子〈税引前〉×0.79685が差し引かれます)なので、「完璧なタイミング」を狙う必要性がもともと小さい商品です。金利のしくみからおさらいしたい方は 金利・国債ガイド を、定期預金と迷っている方は 国債 vs 定期預金 をどうぞ。
よくある質問
Q. 7月30〜31日の日銀会合で利上げされたら、国債の利率もすぐ上がりますか?
個人向け国債の利率は市場実勢(基準金利)をもとに募集回ごとに決まるため、政策金利の変更が市場金利に反映されれば、その後の募集や変動10年の見直しに反映されていきます。ただし利上げが決定されるかどうかも、市場金利がどう動くかも事前には分かりません。
Q. 変動10年を買った後に金利が上がったら損しませんか?
変動10年は購入後も半年ごとに利率が見直され、金利上昇に追随する設計です。「先に買ったせいで低い利率のまま」にはなりません。
Q. 逆に金利が下がったらどうなりますか?
変動10年の利率は下がりますが、最低0.05%が保証され、元本も額面で償還されます。固定型はもともと発行時の利率のまま満期まで変わりません。
Q. 買った後にもっと良い条件が出たら乗り換えられますか?
発行から1年経過後なら元本割れせず中途換金できます(直前2回分の利子〈税引前〉×0.79685が差し引かれます)。ただし変動10年どうしなら利率は見直しで収れんしていくため、乗り換えの必要性は小さいです。
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本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入や購入タイミングを推奨するものではありません。金利・利率の見通しは不確実で、追加利上げの有無や時期を保証するものではありません。掲載の利率・条件(変動10年1.95%・固定5年2.24%・固定3年1.96%等)は2026年10月発行分時点のもので、募集回ごとに変わります。機会損失の金額はあくまで概算です。最新情報は財務省・日本銀行・各金融機関の公式サイトでご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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