米国債の税金はややこしい?
利子・売却益・為替差益の課税を整理【確定申告前に】
- 米国債の課税は「利子」「売却益・償還差益」「為替差益」の3つに分けて考えると整理できます
- 利子は20.315%の源泉徴収(申告不要を選択可)、売却益・償還差益は申告分離20.315%
- 為替差益は、売却・償還の場合は円換算した譲渡損益に織り込まれて課税=別建ての計算は原則不要とされています
- 特定口座(源泉徴収あり)なら原則、確定申告は不要=「手間」の答えはここです
- (2026年9月時点:USD/JPYは153円台。確定申告は例年2/16〜3/15)
📚 米国債を扱う主要証券会社
米国債・外国債券を取り扱う主要証券会社です。取扱銘柄や口座の種類(特定口座の対応など)は各社で異なるため、口座開設や購入の判断はご自身でご確認ください。
① 課税は「3つ」に分けると簡単
「米国債の税金はややこしい」と言われる一番の理由は、お金が増えるルートが3つあるからです。逆に言えば、3つに分けてしまえば整理は難しくありません。
| 何が増えた? | 所得の区分 | 税率・扱い |
|---|---|---|
| ① 利子 | 利子所得 | 20.315%が源泉徴収。申告不要を選択可(申告分離課税を選ぶことも可) |
| ② 売却益・償還差益 | 上場株式等の譲渡所得 | 申告分離課税20.315%。特定口座(源泉徴収あり)なら口座内で完結 |
| ③ 為替差益 | (売却・償還では)②に織り込み | 円換算した譲渡損益に含まれて②で課税=別建ての計算は原則不要 |
ポイントは、③の為替差益が「雑所得として別に申告が必要なのでは?」と誤解されやすいこと。次で詳しく見ます。
② 為替差益はどこで課税される?
米国債を売却・償還してお金を受け取る場合、譲渡損益は「買ったときの円換算額」と「手放したときの円換算額」の差で計算されます。つまり為替差益は譲渡損益の中に自動的に織り込まれ、②の申告分離20.315%で課税される、というのが基本の整理です。
この差益が譲渡損益に織り込まれて課税されるイメージ
- 例:100ドルの米国債を1ドル150円のときに購入(円換算15,000円)→ 1ドル161円のときに額面100ドルで償還(円換算16,100円)
- ドル建てでは±0でも、円ベースでは1,100円の差益。これが償還差益(譲渡損益)として課税対象になります
- 逆に円高になれば円ベースで損失(為替差損)になる可能性もあり、その場合は譲渡損失として扱われます
- 一方、償還金を外貨のまま保有して後日円転した場合の為替差益などは扱いが異なるケースがあるとされ、ここは深入りしません。個別のケースは税務署・税理士にご確認ください
③ 特定口座(源泉徴収あり)なら原則申告不要
「手間が心配で踏み出せない」という人への答えはシンプルで、特定口座(源泉徴収あり)で買えば、①利子も②売却益・償還差益も口座内で税金の処理が完結し、原則として確定申告は不要とされています。
- 利子は受け取り時に20.315%が源泉徴収され、申告不要を選択できます
- 売却益・償還差益(為替差益込み)は、特定口座内で証券会社が円換算の損益を計算し、源泉徴収してくれます
- つまり「為替レートを自分で調べて損益計算する」作業は、売却・償還の範囲では基本的に証券会社任せにできるということです
④ 損益通算もできる
米国債は税制上「特定公社債」に含まれ、国内の上場株式や日本の国債(特定公社債)と損益通算が可能とされています。
- たとえば米国債で譲渡損失が出た年に国内株で利益があれば、相殺して税負担を抑えられる可能性があります
- 同一の特定口座(源泉徴収あり)内なら通算も口座内で処理されます。別の証券会社の口座間で通算したい場合は確定申告が必要です
⑤ 申告が必要・した方が得になるケース
「原則申告不要」にも例外はあります。代表的なのは次のようなケースです。
- 一般口座や特定口座(源泉徴収なし)で保有している場合=譲渡益が出たら原則、確定申告が必要です
- 損失が出た年は申告した方が得になることも=申告により譲渡損失を翌年以降3年間繰り越せる制度があります(毎年の申告が必要)
- 複数の口座間での損益通算や、外貨のまま保有・円転が絡むケースなど、個別事情で扱いが変わる部分は自己判断せず、税務署・税理士に確認するのが確実です
確定申告の期間は例年2月16日〜3月15日です。手取り額のイメージは 米国国債シミュレーター で税引後まで試算できます。円安と米国債の関係は 【そもそもの話】円安×米国債 もどうぞ。
よくある質問
Q. 米国債の利子に確定申告は必要ですか?
利子は20.315%が源泉徴収され、申告不要を選択できます。特定口座(源泉徴収あり)なら売却益・償還差益も含めて原則申告不要とされています。
Q. 為替差益は雑所得として別に申告するのですか?
米国債の売却・償還では、為替差益は円換算した譲渡損益に織り込まれて課税されるため、別建ての申告は原則不要とされています。外貨のまま保有した後の円転など個別のケースは扱いが異なることがあるため、税理士にご確認ください。
Q. 米国債で損が出たらどうなりますか?
円ベースの譲渡損失は国内の上場株式や特定公社債と損益通算が可能とされ、確定申告をすれば3年間の繰越控除も使えます。
Q. 確定申告の期間はいつですか?
例年2月16日〜3月15日です。特定口座(源泉徴収あり)のみで完結していれば、原則として申告は不要とされています。
関連ページ
米国国債 シミュレーター
利回り・為替・税引後の手取りをまとめて計算。
そもそも円安×米国債の関係
円安のいま米国債を買うとどうなるかをやさしく解説。
比較米国債 vs S&P500
確実な利回りと株式リターンをフラットに比較。
比較ストリップス債 vs 米国債
利付債とゼロクーポン債、しくみと使い分け。
本記事は情報提供を目的とした一般的な税制の紹介であり、特定の金融商品の購入や特定の申告方法を推奨するものではありません。税制・為替レート・各社の取扱条件は変更されることがあり、課税関係は口座の種類や個別の事情によって異なります。実際の申告・納税は、国税庁・税務署・税理士等の専門家、および各金融機関の最新情報で必ずご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。
※ サイトには広告が含まれます。リンク先での購入や口座開設の判断は、必ずご自身でお願いします。